茶の夏期高温干ばつ対策について

平成28年8月25日
農業技術課農業革新支援センターより

1.かん水

 茶園内土壌が乾燥し、樹勢が落ちている成木園や幼木園では、早朝か夕方にかん水を行う。
 特に、幼木園は干ばつの被害を受けやすいため注意が必要で、株元に 10t / 10a(10mm)、定植直後の幼木であれば1株当たり2~3L程度のかん水を行うようにする。
 成木園は、中切り、深刈りを行った園は被害が出やすいため可能であればかん水を行う。かん水は 20t / 10a(20mm)の水量が必要であるため、水量の確保が可能でスプリンクラー設備が整っている茶園はかん水を行う。かん水は1度に行わず、4~5日に分けて(1回に 4t / 10a 程度)、蒸散が少ない夕方から夜間にかけて実施する。
 動力噴霧器、乗用型防除機等を用いてかん水を行う場合は、水量を節約するため株元のみにかん水を行う。水量が少ない場合は株元に点滴チューブ等を用いて点滴かん水を行うと効果的である。

2.蒸散抑制のための被覆及び敷き草

ア 遮光率 50~60% 程度の黒の寒冷しゃ等を用い、茶樹及び土壌からの蒸散を抑制する。
イ 成木園:寒冷しゃ等の被覆資材を直接・間接で被覆することにより蒸散が抑制されるが、遮光率の高い資材を
  直接被覆すると葉焼けを起こす場合があるので注意する。
ウ 中切・深刈園:まだ葉層が形成されていない園(株元が見える)は被覆(間接)を行い、株元の根が乾いて
  傷まないように努める。
エ 幼木園:トンネル式の間接被覆を行い、蒸散抑制に努める。
オ 敷き草、敷きワラ等:うね間や株元に敷きワラを行い、土壌中の水分蒸散防止に努める。
  特に定植当年の幼木は被害を受けやすいので、株元への敷きワラ、土寄せ等を行い、浅い根の乾燥防止、
  土壌水分の保持に努めるようにする。

3.防 除

 干ばつ時にはカンザワハダニ、チャノミドリヒメヨコバイ、チャノキイロアザミウマ、クワシロカイガラムシ等の吸汁性害虫の被害が増大しやすいので、的確な防除を行う必要がある。特に、クワシロカイガラムシの大量発生は干ばつによる樹勢低下が拡大するため注意する。
 作業に当たっては、炎天下での薬剤散布は付着した薬液が高温になり茶葉に高温障害が出るため、早朝か夕方に行うようにする。

4.その他

 整剪枝、裾刈り、中耕、除草など茶樹や土壌の水分蒸散を助長する作業は極力行わないようにする。

このエントリーをはてなブックマークに追加