農林水産省が交付している多面的機能支払交付金をご存知ですか?
農村環境を守るために交付されている交付金です。
農村環境の役割
・自然のダム
田んぼは、雨水を一時的に溜めて、ゆっくり放出するので、ダムの役割を果たしてくれます。
近年では地球環境の変化により、日本でも毎年、豪雨災害が発生するようになってしまっています。
人工的に新たにダムを造るには、土地の問題など、色々な問題が起きますが、元々自然にある田んぼダムなら、元々存在しているので、新たに造る必要がありません。
田んぼダムを上手に活用することで、豪雨被害への対策をすることができます。
この事業でも、数年前から田んぼダムを推進しており、交付金を活用し、田んぼの貯水機能の維持などを行っています。
・生態系の保全
田んぼには、カエルやアメンボやトンボ等たくさんの日本古来からの生き物が生まれ育ちます。
生態系が崩れると、巡りめぐって人間にも悪影響が及びます。日本古来からの生態系を守ることは大事なことです。
・心を癒す
農村の美しい四季折々の風景は、人の心を癒やす効果があります。
あさぎり町広域協定は、
あさぎり町の農村環境を守るために、平成19年度から多面的機能支払交付金を受給し、活動しています。
あさぎり町は、こんな所!
→【位置】熊本県の南部。
→【特色】一級河川の球磨川が中心に流れています。基幹産業は農業。のどかで自然豊かな景色が広がっています。
あさぎり町の風景
→その1 春の溝さらえ作業風景(令和6年は暖冬だったので、春の草の伸び方が例年より早い!)
→その2 8月早朝 草刈り作業(あさぎり町の名前の由来は、多発する霧からきています。)
→その3 秋 草刈り作業(今年の夏はいつまでも暑くて、この日も11月ですが、暑かった…。)
→その4 冬 溝さらえ作業(令和7年の冬は、あさぎり町にも寒波がきて、雪がちらつくことも数回ありました。九州だけど、盆地なので極寒!)
それでは、【活動報告】に入ります。
令和6年度は、このような活動を行いました(*’ω’*)↓↓↓
〇生態系保全活動
1.希少種の保全活動
(深田東地域資源保全隊)深田地区
深田東地区のため池(庄屋池)には、オグラコウホネという希少な植物が生息しています。
特に手を入れてあげる必要はありませんが、乱獲などされていないか、年1回以上、生息状況を確認しています。
生息確認活動 (ため池の奥の方に生息しています。)
←開花したオグラコウホネ
2.外来種の駆除活動
本来その土地には生息しておらず、海外等から持ち込まれた生物を外来種といいます。この外来種は、昔からその土地に生息していた生物を捕食したりして滅ぼしてしまったり、本来のその土地の生態系を崩してしまいます。
あさぎり町内でも、外来種であるジャンボタニシが本来の生態系を崩しているため、ジャンボタニシの駆除活動を行っています。
ジャンボタニシの、特徴的な赤い卵
←ジャンボタニシの成虫
↓(上代活動組織)須恵地区
←ピンク色のたまご
←ジャンボタニシを駆除する薬剤を散布することで、効率的に駆除を行います。
←薬剤により死滅したジャンボタニシ
↓(農地・水・平和活動組織)上地区
厳寒期に田起こしをし、地中のジャンボタニシの幼虫を寒さにさらすことで、駆除しました。
3.生物の生息状況の把握
今井地区の沼地には、あさぎり町内でもここにしか生息しない「コガマ」という植物が生息しています。
コガマの生息地周囲の草刈作業を行い、生息状況を観察しています。
←草刈作業を行ってコガマの生息状況を確認します。
←年に数回草刈り作業を行います。
〇水質保全活動
1.非かんがい期の通水活動
農業で水を使わない時期(稲刈り後~春先)に、水路に全く水を流さないと、水路に落ち葉などが溜まり悪臭が発生する場合があります。そのようなことを防ぐために、水を使わない時期に通水を行う活動を行いました。
↓(農地・水・平和活動組織)上地区
←水門を操作し、水を流しています。
↓(幸野溝溝地区地域資源保全隊)岡原地区
←非かんがい期に、ため池の草刈りと水路への通水を行いました。
↓(深田東地域資源保全隊)深田地区
←非かんがい期に、水路の草刈りと通水を行いました。
〇景観形成・生活環境保全活動
1.植栽活動
耕作がされていない農地や、農道沿い等に、花を植えて景観を良くする活動を行いました。
↓(農地・水・平和活動組織)上地区
地元の農業者、非農業者、こども達で、農道沿いにヒガンバナを植栽しました。この活動を通して、地域のつながりも高まっています。
植栽活動
開花状況
↓(幸野溝地区地域資源保全隊)岡原地区
岡原地区の老人クラブと農家の方が一緒に、植栽活動を行いました。活動を通じ、交流をはかることが出来ました。
皆で楽しく植栽!
←みんなでわいわい楽しく作業
←きれいに開花しました。
↓(上代活動組織)須恵地区
地元の農家と非農家で植栽活動を行いました。
↓(深田東地域資源保全隊)深田地区
深田地区の婦人会で植栽活動を行いました。
←ヒガンバナへの追肥作業
↓(上南活動組織)上地区
地元の農家と子ども会で、一緒にコスモスの種まきを行いました。
←4つの子ども会が参加。人数が多くてにぎやかでした。
←きれいに咲きました。
↓(須恵・深田畑地帯活動組織)須恵地区と深田地区
平成25年度に植栽した桜がすくすく育っており、毎年綺麗な花を咲かせます。毎年、年2回程度、地元の農業者と非農業で、周囲の草刈り作業を行い、桜を保護してるおかげです。
高土手なので、草刈り作業は大変!
毎年、きれいに花を咲かせてくれます。
↓(あらた活動組織)深田地区
地元の婦人会で植栽活動を行いました。
↓(今井活動組織)
地元の婦人会に協力いただき、植栽活動を行いました。
2.農道等のごみ拾い活動
農地や水路や農道の周囲にも、ゴミのポイ捨てはあります。年1回以上、ごみ拾い活動を行い、環境を保護しています。
↓ (農地・水・平和活動組織)上地区
地元の農家とこども会でごみ拾い活動を行いました。
↓ (上地域活動組織)上地区
地元の老人会に協力を依頼して、ごみ拾い活動を行いました。
←たくさんのゴミが集まりました。皆さんポイ捨て止めましょう!!
↓ (上南活動組織)上地区
地元の農家と非農家で農道の清掃・ごみ拾い活動を行いました。
↓ (あらた活動組織)深田地区
地元の農家と非農家で農道の清掃活動を行いました。
↓ (須恵・深田畑地帯活動組織)須恵地区と深田地区
地元の農家と非農家で、この事業で毎年管理を続けている農道の法面が、高くて傾斜もきつく、高齢化が進む地元の負担が大きくなっています。
高齢化することで、足の踏ん張りがきかなくなるので、転落の危険が増したりするからです。
平地での作業なら良いのですが、急傾斜地の作業は高齢化すると危険です。
以前から、この事業で、急傾斜地に草刈りのための足場を作れるので、地域で希望をされていました。
今年度、ついに、実施をすることが出来ました。
地元に、建設業に勤めていてバックホウ作業に慣れている方がいらっしゃるので、協力をお願いし、バックホウをリースして自主施工で作業を行いました。
←人力での足場作り作業。写真でも、どれだけ急な斜面か分かると思います。
←バックホウによる足場作り
←立派な足場が出来ました!!
↓ (今井活動組織)上地区
地元の農家と非農家でごみ拾い活動を行いました。
↓老人会による作業
↓子ども会による作業
↓ (瀬ノ上活動組織)須恵地区
地元の農家と非農家でごみ拾い活動を行いました。
3.農業用水の地域用水としての利用・管理
(深田東地域資源保全隊)深田地区
深田東地区を流れる木上溝は、農業用水としてだけでなく、古くから生活用水や防火用水に使われてきました。そのため、地元の農家と非農家で、年2回程度、溝の清掃活動を行っています。
皆さんも、農村環境を守るため、ポイ捨てや不法投棄などは止めましょう!!
町内在住の方は、作業通知が届いたら、作業にご参加ください。
昨今は農家の減少により、作業時に人手不足で困っていますので、皆様のご協力をお願いします。